過払金が戻ってくるというCM、よく流れていますね。金利の高い当時に借りていれば返してもらえるものなら、返してもらいたいというのが正直なところです。
ただ過払金の時効がわかりづらい。
基本は完済してから10年で時効が成立します。ただ継続して利用している場合は、完済してから10年になりますから、時効は今現在から10年以降になるということもあるのです。
ですから、金利の高い時からずっと取引を続けている方は、まだまだ時効は先の話になります。申請すれば過払金戻ってくるかもしれません。
一度ご自身の契約を確認してみるといいでしょう。
ではもう少し詳しく過払金についてみていきましょう。
過払金は、消費者金融やクレジット会社から借り入れをする際に、利息制限法の上限(金利18%)を超える返済をする契約を結んでいた方は、利息制限法を超える利息は払い過ぎになると考えて、金融会社は払い戻さないといけないということになりました。
なぜこういうことが起こったかといえば、当時の金融会社は利息制限法と出資法と二つ法律があり、以前の出資法は年率29.2%までOKだったのです。
利息制限法と出資法の間をグレーゾーンと呼び、利息制限法を当てはめたら違法だけれども、出資法で考えると違法ではないという状況が続いていました。
それが2006年に法律の改正があり、18%以上で貸付をすることはできなくなりました。
そこから法律以上の利子を払った人は、過払金として返換してもらえる制度ができたのです。
もう少し過払金の時効について、事例をあげて説明してみましょう。
はじめにも書きましたが、最終取引日から10年経ってしまうと時効という形になります。
ただ例外もあるのです。
現在も同じ金融会社で借り入れをし、返済を続けている場合や、金融会社の取り立てが違法なものであった時は、過払金を請求できる場合があります。
最終取引日が10年経っていても過払い請求できることもあるのです。
例外の現在も取引が継続されている場合ですが、取引の途中で全額返済し、再び借り入れをしている場合も完済前の分を含めて、最初の取引から現在に至る取引までを請求できるというのが原則になっているからです。
ですから同じ金融会社と取引がある場合は最終取引日から10年経過していても、請求権が残っていると考えられるのです。
ただ一旦基本契約を解約したり、再借り入れをするまでの期間が空いている場合などは対象外になることもあります。ご注意ください。
このような取引が一連のものであるかどうかの判断は難しいです。
ポイントのなってくるのは
1. 複数回の取引が1つのものとしてみられるか
2. 取引と取引の間の期間
3. 借り入れ時の契約内容や形態に変化がないかどうか
4. 空白期間に契約の更新や年会費の支払いがあるか(クレジットカードの場合など)
今までは過払金の時効について勉強してきました。次は過払金の計算方法についてやってみましょう。
過払金を請求していく中で、知っておきたいことがあります。
充当:払戻し額をご利用代金の一部にあて、一部お支払い済みとしてご請求額から差し引きをすること
相殺:払戻し額を元のご利用代金の相当分差し引いて、ご請求額を消滅させること
こうやって書いてしまうと、どちらも同じ意味のように思えるかもしれませんが、実際の例を見ていただければその違いがはっきりすると思います。
50万円の過払金と借金が1年間並存する場合
1年後、過払金は過払い利息5%が加算され、525,000円
借金は18%の法定利息が加算され、590,000円
これを相殺すれば、65,000円借金が残る形になります。
充当の場合は、50万円の過払いと50万円の借金がある場合に過払金が元本に組み入れられるので、借金も0円になります。
これがわかっていれば、借金を相殺してしまうと思うのですが、借り入れ側は、過払金がいくらあるかわかりません。
そこで支払いを続け、50万円の過払金に気付いた時には相殺の対象である借金はもうないということになってしまいます。
時効が成立して過払い金として返還請求をすることができなくても、相殺によって2回目の借入の元本を減らしたり、ゼロやマイナスにすることができるため
相殺させた過払い金の額によっては2回目の借入の弁済時点から再び過払いとなる可能性もあります。
1. 裁判上の請求で消滅時効期間をリセットにする
訴訟提起や支払い催促の申し立てなどの司法手続き請求をおこなうことで、消滅時効の進行を振り出しに戻すことができます。
どういう方法があるかというと
支払催促:書類審査だけで訴訟の半分の手数料で金銭の支払いを請求できる司法手続き、相手型が2週間以内に督促の異議申し立てをしない場合債務名義を取得できる。
少額訴訟:訴額が60万円以下の場合に利用できる裁判手続きで審理が1日ですみ、判決がすぐ出るのがメリットですが、相手方が通常訴訟へ移行する可能性が高く、通常訴訟になるケースが多いようです。
これらの方法は弁護士費用などがかかるので、過払金がかなり多い時などに利用したほうがいいでしょう。少額であるならば費用の方が高くなってしまう場合もあるので注意しましょう。
2. 裁判外の請求で時効を一時的にストップさせる
内容証明郵便などで、直接請求書を送付して請求する行為です。請求書を送るだけでできる簡単さがあるが、消滅時効の中断は6ヶ月だけです。
中断させた6ヶ月の間に解決しないと意味がなくなります。さらに時効を中断させるためには裁判上の請求をしないといけません。
2010年ごろまでに利息制限法違反になるような金利で借り入れをしていた場合は、一度過払い請求を考えてもいいのではないでしょうか。
不便なことというなら、過払金請求をした会社から、新規に借り入れができなくなる可能性が高くなるということぐらいです。
信用情報機関には過払い請求をしたという情報はのらないとされています。
ですから実際に交渉した金融会社以外には、情報が漏れないと考えてよいでしょう。
ブラックリストに載るかもということを恐れて過払い請求をしなかった方は時効が来る前に検討してみるといいかもしれません。
特に借り入れ期間の期間が長い方などは、過払金がかなりある場合がありますので、一度弁護士や司法書士に相談してみるといいでしょう。
といっても、弁護士も司法書士もボランティアでやっているわけではないので、自分にメリットのない場合などはあまり親身になってくれないことも予想されます。
また運良く過払金を受け取れることになっても、しっかり弁護士や司法書士を選んでいないと、手数料が高い場合もあります。
自分がどのくらい過払金を受け取れるかを無料相談などで把握して、その上で、実際に金融会社と交渉してくれる弁護士、司法書士を選ぶようにしたいですね。
過払金請求をお願いする弁護士、司法書士を比較、検討するくらいの気持ちで選ぶほうがよさそうです。