口約束のお金の貸し借りは厳禁!金銭借用書の作成が必要な理由とは

家族や親しい友人の間でのお金の貸し借りは、思わぬトラブルに発展することが少なくありません。その原因は口約束で、いつどれだけ貸したか、いつまでに返済するのかがあいまいになってしまっているからです。

たとえ親しい間柄でも金銭借用書はしっかりと作成しておけばトラブルを防ぐことができます。とはいえ、よく知らないまま我流で作成しても効力を発揮できない可能性があります。ここでは金銭借用書にどんな内容を盛り込めばいいかを解説します。

借用書は2種類。どんな違いがあるのか知りたい!

借用書には「借用書」と「金銭消費賃借契約書」の2種類があります。

効力に大きな違いはありませんが、署名する人と保管する人に違いがあります。借用書は借主が署名して貸主が保管します。金銭消費貸借契約書は借主・貸主双方が署名・押印、保管します。

効力に大きな差はありませんが、できれば金銭消費貸借契約書を作成しましょう。借用書は保管するのが貸主のみなので、紛失や改ざんのおそれがあります。

高額な貸し借りは、なるべく金銭消費貸借契約書を作成するようにしましょう。

借用書に必ず記入すべき項目をしっかり把握しよう!

借用書、金銭消費貸借契約書には決まった書式はありません。双方の事情に合わせた内容にすることができます。しかし、最低限盛り込んでおかなくてはいけない項目はあり、漏れがあると効力が発揮されない可能性があります。

以下は明記しておくべき項目です。

  • 契約書の作成日付
  • 借主の氏名・住所・押印
  • 貸主の氏名・住所・押印
  • 金額
  • お金を貸した日付
  • 返済方法・返済期日
  • 期限の利益喪失

利息や遅延損害金を定める場合は、下記の3項目を盛り込みましょう。

  • 利息
  • 遅延損害金

個人間での金銭の貸し借りは基本的に無利息が条件ですが、双方の合意があれば利息、遅延損害金を盛り込むこともできます。

ただし、法定金利の範囲内にしておかなければ無効となるので注意しましょう。

貸し倒れリスクを防ぐために貸主は期限の利益喪失はしっかり確認を!

期限の利益喪失とは、貸主、借主双方で取り決めた返済期日まで返済しなくてもよいという契約が失効することをいいます。期限の利益が消失すると、借主は即座に貸主の希望期限までに一括返済しなければなりません。

以下の条件に該当する場合期限の利益喪失が発生します。

  • 借主が元金または利息の支払いを怠った場合
  • 借主が他の債権者によって仮差押え・仮処分・強制執行をうけた場合
  • 借主が他の債権者によって競売・破産・民事再生の申立てをうけた場合
  • 借主が振出・裏書・保証した手形・小切手が不渡りとなった場合
  • 借主が税金の滞納処分をうけた場合

いずれも、貸し倒れリスクの起こりそうなケースです。

貸し倒れの被害を被らないためにも貸主は期限の利益喪失が盛り込まれているかどうかをしっかり確認する必要があります。

借用書を作成した日付も必ずいれておきましょう。西暦でも和暦でもかまいませんが一般的には和暦を使うことが多いですようです。

金銭借用書の金額は漢数字で改ざんを防ぐ

金額の記入は改ざんしやすいアラビア数字や算用数字は避け、漢数字の大字を使用します。また、余計な数字を書きこまれないよう隙間なく記入するようにしましょう。借主の署名は必ず直筆で記入してください。

1万円以上の貸し借りには収入印紙が必要

金額が1万円以上になる場合は収入印紙を貼る必要があります。貼るのは原本だけで大丈夫です。

貼り忘れたとしても効力に変わりはありませんが、税務署の調査で収入印紙を貼っていないことが発覚した場合、本来の印紙代+本来の印紙代の2倍に相当する金額を税務署に治めることになります。

金額が大きい場合は公正証書を作成しておくのがベター

公正証書は、公証人が法律にしたがって作成する公文書のことです。公正証書は貸主と借主が公証役場に行って公証人に契約内容を伝えて作成しますが、契約内容は双方の合意がなければ作成できません。貸主、借主どちらかだけの意志では作成できませんので見解に食い違いが出ないよう、しっかり話し合って作成するようにしましょう。

公正証書は原本が公証役場に保管されるので、紛失や改ざんを防ぐことができます。また、借主が返済を怠った場合、裁判所での手続きなしで差し押さえに入ることができるので、貸主は貸し倒れを防ぐことができます。

ただ、公正証書の作成は最低でも1万円ほどの費用がかかりますし、時間もかかります。

書類を作成する前に本当に妥当な金額かよく考えましょう。たとえ親しい間柄でも大金の貸し借りは思わぬトラブルに発展することもありますから、しっかりとした話し合いをして、あいまいな部分がないようにしてくださいね。