将来のために専門知識や高度な技術を身に着けたい!こう思って奨学金を借りて勉強したのに、不景気で就職できず満足な収入が得られないため、返したくても返せない。ここ数年、こんな人が大幅に増えています。
奨学金も立派な借金です。延滞を続けると返済額が膨らむばかりでなく周囲の人にも大きな迷惑をかけることになります。いまきちんと返済している人でも将来は何がおこるかわかりません。奨学金が返せなくなったときの最適な対処法をしっかり学んでおきましょう。
奨学金は家庭の経済的事情で就学が困難な学生に給付または貸与されるお金で、一般的には独立法人日本学生支援機構(JASSO)から付与されるものをさします。
給付型は返済義務のない奨学金で、JASSOが定めた一定の規定を満たす学生に給付されます。
貸与型は返済義務jがあり、無利息の第一種奨学金と利息付の第二種奨学金の2種類があります。
第一種奨学金と第二種奨学金では規定、貸与額が微妙に違います。以下にそれぞれの概要と金額を下記にまとめました。
大学院・大学・短期大学・高等専門学校・専修学校に在学する学生を対象とした奨学金です。優秀な成績で学ぶ意欲があるが、経済的理由により修学困難な人に貸与されます。
付与される金額
第一種奨学金より選考基準がゆるやかですが、年3%を上限とする利息を返済する義務があります。(在学中の返済は無利息)
付与される金額
返済は定額返還方式か所得連動返還方式のどちらかを選択することになります。
奨学金を申し込むときには機関保証に加入するか、連帯保証人と保証人をつける必要があります。
どちらをつけるかはケースバイケースです。両方をつけることを求められることもあります。
言うまでもありませんが、奨学金もりっぱな借金です。返済が1ヶ月間滞ると督促状がとどくようになり、2ヶ月目に入っても延滞が解消されなければ遅延金が発生し、延滞した日数分、2.5%~5%の延滞金が返済に上乗せされることになります。
3ヶ月目になると信用情報機関に延滞の履歴が掲載され、いわゆるブラックリストに載った状態になります。4ヶ月目に入ると債権回収会社に取立て業務が委託され、電話での督促や自宅訪問が行われるようになります。
ここまでくると給与や財産の差し押さえ、連帯保証人にも請求がいくことになります。
それでも延滞状態がつづくと9ヶ月目にはついに民事訴訟をおこされ、一括請求されることになります。
もうおわかりだと思いますが、奨学金も取立ては民間の金融会社となんら変わりないのです。
放置しておくと返済額がどんどん膨らんでますます返済が困難になります。そればかりか保証人にも督促がいくようになり、奨学金を受けた人だけでなく、保証人の人生までも変えてしまうことになりかねません。
民間の金融業者は返済ができそうになければ、窓口に連絡して返済を待ってもらったり月々の返済金額を変更してもらうこともできますが、奨学金でも同じような措置が認められます。状況によってどんな対応をしたらいいかをしっかり判断する必要があります。
約束どおりの返済は困難でも月々の減額すれば返還できる場合は減額返還の申込みをしましょう。減額返還は、災害や病気などで収入が見込めなくなった場合に申し込むことができます。一定期間、月々の返済金額を1/2~1/3に減額して返済期間を延長することができます。
ただし延滞していると適用対象から外れるので、手続きは迅速におこないましょう。この措置は返済期限が延びただけで、返済金額が減額されるということではないということではないので、注意が必要です。
精神的・身体的な理由で働くことができなくなった場合、または死亡により返済ができなくなった場合は返還免除を受けることができます。未返済分の金額の一部または全額の返済が免除される制度です。教育、研究職に就いた場合にも適用されます。
奨学金を受けたさいに保証人をつけた場合、返済が滞ると保証人に支払い義務が生じ、大変な迷惑をかけることになります。上記の措置が受けられなかった場合は、迷うことなく司法書士や弁護士などの専門家に相談しましょう。
その場合は奨学金を受けた本人だけでなく、事前に保証人も相談して一緒に手続きをするようにしましょう。
万が一、自己破産ということになり本人だけが破産して返済義務がなくなったとしても、保証人の返済義務は残り、多額の負債を抱えることになります。
奨学金が返せそうにないと思ったら、早めに保証人にその旨を伝え、延滞が発生しないうちに手続きを開始するようにしましょう。返済を放っておいても、いいことは何一つありません。