カードローンでお金を借りている人の中には、返済に困ってしまって2社3社と借入先が増える、いわゆる多重債務に陥る人が時々います。最初は自分でもなんとかなると考えていたはずが、気づけば総額でいくら借りていたのか自分でもわからなくなってしまうと言うこともあります。
ここまでくると精神的にも追い詰められ、仕事にも支障が出て収入が減ってしまったり、返済が全くできない状態になってしまうこともあります。
しかし、どうしたら良いのかわからないからと言って、そのままにしておくわけにはいきません。返済しないとどうなるのか、どうしたらいいのか、お伝えします。
カードローンは、お金を借りた後、基本的に毎月(または、35日ごとなどの一定期間ごと)返済することになっています。これは金額や返済方法が違っても、消費者金融だろうが銀行だろうがどこでも同じです。
最初の頃は、返済額も少額の場合が多いのですが、借入額や借入先が増えたり、返済が負担になって他社からお金を借りて借金の返済にあてるような方法で返済額が増えてしまう人がいます。そうなると、生活に支障が出るほどに負担になり、返済ができない状態に陥ることになります。
もちろん、まだなんとかギリギリ返済ができる状態で、返済の延滞が1回ぐらいですぐに支払いを行えば問題はありません。誰でもうっかり忘れることはあるので、うっかり忘れたと言う場合もすぐに返済すれば大丈夫でしょう。ただ、返済自体ができないとなると話は変わるでしょう。
返済ができないとなると、どうしたらいいのかわらないことから、ついそのまま放置してしまう人がいます。しかし、それは後で自分の首を絞めることになります。返済ができないとこのような流れで催促されます。
返済ができない時の流れ
貸金業者によって細かい対応は違うでしょうが、大まかな流れとしてはこのようになっています。
最初は電話で連絡がくることになるのですが、対応が早い貸金業者だと次の日には連絡がきます。
催促の連絡が何度あっても返済されなければ最終的に法的処置を取られ、強制執行が行われることになります。強制執行となると穏やかではないと言えますし、給料や財産の差し押さえになったら家族や会社に借金のことがわかってしまいます。
ただ、給料の差し押さえとは言っても、全額差し押さえされるわけではありません。
実際に差し押さえになれば給料が全額差し押さえされる訳ではないのですが、裁判所からの通知が来た段階ですぐに対応する人がほとんどですし、すぐに対応する方がいいです。
強制執行まで行くことはそうそうないのですが、まず、振込にしろ引落しにしろ、返済ができなければ貸金業者(や銀行)からすぐに催促の連絡が入るのは確かです。
そして、(先にも触れたのですが)1回ぐらいですぐに対応すれば問題ないのですが、返済が滞ることが続けば、いわゆる延滞になり、様々な対応が行われることになります。
返済できないと起こり得ること
よく商品概要にもあるのですが、金利と並んで記載されているのが遅延損害金です。
遅延損害金や一括返済に関しては、ネットなどの情報では、あまり大きく取り上げられることはないのですが、それでも毎月の返済さえできない人にとっては大きな負担になることにはちがいありません。
遅延損害金=借入残高×遅延損害金の金利÷365日×遅延した日数
日割り計算されるので、一旦365日で割ってから遅延した日数分計算されます。遅延損害金の金利は、多くは20%程度となっていることが多く、消費者金融の通常の上限金利の多くは18%ほどなので、たった2%と思う人もいるかもしれませんが、延滞が続けばかなり負担が増えてしまうことになります。
また、同時に一括返済を求められることが多いです。実際には払えないからこそ延滞になってしまうのですから、最終的には交渉して分割や少額での返済になることが多いのですが、貸した側はそれだけ厳しい態度で臨んでくることと考えておいた方がいいでしょう。
その個人信用情報機関としては3つあります。
消費者金融や銀行、クレジット会社は、どこか1機関、または複数機関に会員登録しています。その上で、会員登録している機関に情報を記録したり照会します。また、それぞれの情報機関は情報交流を行っている為、他の情報機関にある記録も照会することができます。
このいわゆるブラックになったと言う、信用情報に事故情報が記録されている期間は、信用情報機関によって違いますが、1年ないし5年とされています。(長いところだと完済してから5年残ります。)もちろん、延滞が解消されればそれも記録されることになります。
また、借入先となっている貸金業者には情報は半永久的に消えることはありません。その為、昔、延滞を起こした貸金業者では新たに申し込みをしても審査で落ちる可能性が大いにあります。
どちらにしろ延滞の記録がついた段階で、他のローンやクレジットの審査に落ちる可能性が大きくなり、また利用中のカードローンの限度額が下がったり、新たな追加借入ができなくなることは確かです。
ちなみに意外なものとして、スマートフォンの支払いも要注意です。一般的にスマートフォンの本体の支払いは、分割払いで済ませている人が大半です。その為、新たなクレジット等の契約ができないと言うことは、スマートフォンの契約も同様だと言うことになります。
ここにあげた問題とは別に誰もが気にするのが、やはり映画やドラマの影響もあるのか怖い人達が大勢取立てにくるのではないか、という心配でしょう。
確かに一昔前は、闇金などでそのようなことがあったかもしれません。しかし今は、法律で厳しく規制されている為、多くの人が心配するような取立てはありません。
規制としてあるのが貸金業法第21条の取立て行為の規制で、簡単にまとめるとこのようなことが記載されています。
貸金業法で禁止されている取り立て方法
ただし、正規の業者は当然これを守っているのですが、闇金がそれを守るのかと言えば、そもそもお金を貸す段階で高金利など法律違反を犯しているのですから守ってくれるわけではないでしょう。
闇金の場合は話が変わってきますが、それでも法律で取り立ての規制があることを知っていれば、消費者側も警察を呼ぶなど、ただ怯えるだけでなく強く出ることはできます。
まずどうしても返済できない時には、そのまま放置してはいけません。どうしたら良いのかわからないかもしれませんが、自分の問題であることは確かなので、自分からどうするかを考えなくてはいけないでしょう。
最初に行うことは、早めに消費者金融の方に連絡を入れる必要があります。
状況によっては、相談に乗ってくれます。もちろん、出来る限りの対応もしてもらえます。
金融機関によって対応の違いはあるものの、このようなことは検討してもらえます。
それでもある意味、貸金業者の対応は一時的なものなので、最終的な解決にはなりません。もちろん、その間にお金を工面でき、引き続き返済できるような状況ならば、それも一つの方法です。
しかし、もっと深刻で1ヵ月2ヵ月の引き延ばしではどうしようもない場合は、他の方法を取るしかありません。
どうしても返済できなかった時の方法
おまとめローンですが、自転車操業的にあっちのローンからお金を借りてこっちのローンの返済にあてるというのではなく、複数社のローンをまとめた分を1か所から借り換えて返済することで、負担を減らす方法です。多くの消費者金融や銀行で、おまとめ(借り換え)ローンを扱っています。
メリットとしては、毎月何回かある返済が1回に減ることで毎月の返済額も減ります。おまとめローンによっては、新たな借り入れができない商品が多いのですが、逆に言えば、その分借金が今後増えることはありません。
ただし、おまとめでの注意点としては、借入先を1カ所に減らしたことで金額がまとまり金利が下がったとしても、毎月の返済が少額だと返済期間が長期になり、最終的に支払った総額が大きく膨らんでしまうこともある点です。
もちろん、それでも毎月の返済額が減るのはかなりの負担減であることには違いがありません。返済額がどれくらいになるのかということもあるので、試算してみるのもありでしょう。
債務整理ですが、任意整理と個人再生、自己破産の違いがわからない人も多いでしょう。
どの方法にしても弁護士や司法書士などの専門家に依頼するのが一番です。
その方が業者側からの返済の催促の連絡が止まるからです。
任意整理 | 弁護士や司法書士が貸金業者と交渉することにより、借金の返済額を減らしてもらうこと。 自己破産や個人再生よりも借金の返済額が大きく減ることはありませんが、多くの人が利用している方法です。 |
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民事再生 (個人再生) |
裁判所に申し立てを行って借金を減額してもらい(1/5程度まで減らしてもらうこともあり)、残額を3年ほどで完済する方法。 自己破産と違って財産の処分がない。 |
自己破産 | 裁判所に申し立てを行い、借金の義務を免除してもらうよう手続きするのだが、家や車など(生活に必要な分や、一定額は残せる)の財産の処分が必要。 |
よく債務整理のメリットとともにデメリットも言われるのですが、その一番に言われる信用情報に傷がつくと言う点は、延滞になった段階ですでに傷がついた状態になります。その上、完済してから5年は記録残ります。ならば、債務整理を行って早く返済を完了した方が、最終的に記録が消えるのが早くなります。
債務整理を行う場合、弁護士や司法書士等の専門家に相談して対応窓口をしてもらうことになるのですが、実は弁護士等でも例えば交通事故の交渉や刑事事件、借金問題など得意分野がそれぞれにあります。できれば、借金問題を得意とする専門家に依頼するようにしましょう。
ちなみによく「過払い金請求」という言葉をコマーシャルで耳にすることがあるのですが、以前の高い金利の頃に返済していた分を今の金利に計算し直し、返済しすぎた分を返してもらうことです。
高い金利の頃とは、2010年に貸金業法が改正され施行されたのですが、それ以前の頃のことで、法律で上限金利が変わっている為に発生した問題です。
これもまた(弁護士等の専門家に依頼することが多いのですが)債務整理同様、融資側と交渉して払い過ぎた分を返してもらうことです。ただし、時期や返済額によっては、必ず過払い金が発生するとは限りません。
ただ、これらの方法があるとしてもそれ以前に自分にそれができるのか、どの方法がいいのか、何もわからなかったり考えられなかったりします。いきなり結論を出すのは難しいでしょうから、まずは相談するところから始めるのがいいかもしれません。
借金問題での相談窓口としては、公的なものも含めていくつかあります。
基本的に無料相談と考えていいのですが、電話の場合は通話料がかかってしまうこともあるので、それぞれの機関に相談する前に確認した方がいいでしょう。メールを使って相談を受けているところもあります。
日本貸金業協会への相談は、どちらかと言うと業者への苦情の方が多いかもしれません。
カードローン利用者にはあまり知られていないかもしれませんが、日本クレジットカウンセリング協会での多重債務ホットラインでは、相談だけでなく任意整理の対応もしてもらえます。
法テラスは、「名前は聞いたことがあるけれど。」と言う方も多いかもしれません。法的なトラブルに関しての相談窓口になり無料相談は行っているのですが、ただ法テラスに関しては、収入が一定額以下など、条件があります。
なお、これらに相談する前に、まず自身の借金の状況を上手く説明できるよう、整理しておく必要があります。
借金の状況により個々で違うでしょうが、無料相談の場合、まず時間が決まっていることが多いので、相談先や時間によってどこまで話ができるか、希望するだけの話ができるとは限りません。相談する内容をまとめておいた方が、時間を無駄にせずにすみます。
誰もがついつい嫌なことを後回しにしたくなるもので、深刻なお金の問題こそ目を逸らしがちです。
しかし、(他の事もそうでしょうが)カードローンの返済では、返済ができなくなってからでは遅いと言えます。新たに借り入れができなくなるのも困るでしょうし、それが下手をすれば数年は続くことになります。
何より強制執行されては大変ですし、最終手段の自己破産は一見借金がなくなって得をしたように感じる人もいるかもしれませんが、手続きに時間はかかり、また財産の処分が必要などの不便さを感じる状況に陥ることにもなります。(もちろん、借金によるストレスがなくなるのは大きなことですが)
できれば、返済が厳しいと感じる段階で早めに対応し、貸金業者なり専門家に相談するのが、一番傷が浅くすみます。