住宅ローンを組む際に知っておくべき保証会社と担保について!

一般的に、皆様が住宅ローンを組む場合、原則として借主が保証人を用意することは必要とされていません。

というのも、通常は金融機関が指定する保証会社という保証を専門とする会社に対して借主がお金を払って保証人になってもらう仕組みになっており、その費用は保証料といわれています。

住宅ローン審査とは、実質的に保証会社が「この人の保証人になっても大丈夫か?」や「この物件は担保として大丈夫が?」といった判断をし、それぞれの審査の承認及び担保の設定をしています。

そこで今回は、その保証会社や、担保について、皆様にご紹介して参ります。

審査の仕組みとは

お金を払って依頼する保証会社ですが、大手都市銀行などではその金融機関の子会社が保証会社になっているケースが多く、地方銀行などで保証会社をグループ内に持っていない場合は、外部の独立した保証会社を採用しています。

またひとつの金融機関で複数の保証会社を扱っている金融機関もあり、その場合はひとつの保証会社の弱いところ、いわゆる審査の通りにくいところを他の保証会社で補完し融資を実行するという目的があります。

独立した保証会社の中には、保証料の引き下げやギフト券のプレゼントといったキャンペーンを実施して、案件を引き込む施策を打つケースもあるようです。

保証料の支払い方法とは

保証料の払い方ですが、借入時に一括で払う「外枠方式」と、毎月返済額に含んで払う「内枠方式」のどちらかを選べます。

外枠方式の場合は、一定の計算式で算出した額を借入時に納めますが、例えていうと以下のようになります。

返済 借入額 保証料
30年 2,500万円 19,137円×25=478,425円
35年 4,000万円 20,620円×40=824,800円

一方内枠方式を選んだ場合は、借入金利が0.2%上乗せされますが、この0.2%分が保証料となりますが、その内容は以下の通りです。

例えば2500万円の30年返済で、10年固定を選んだ場合は、借入時に47万8425円を支払わない代わりに、10年固定金利の1.5%に0.2%を足した1.7%で毎月の支払いをするということで、また当初固定金利特約期間終了後も常に適用金利に0.2%上乗せします。

内枠方式の場合は借主の信用力いわゆる返済能力によって0.2~0.8%といった範囲で、保証料の増減があり、同様に外枠方式も一括支払保証料が増減することがあります。

また内枠方式には、実行する金利が高いと保証料負担も多くなるという特徴があります。

保証料支払方法による比較とは

この保証料の支払い方法についてもどちらが損でどちらが得なのかという議論があり、4000万円の35年返済で比較してみると、以下のように内枠方式の総返済額が97万円多く、外枠方式の一括払い保証料は82万円なので約2倍の保証料負担になります。

方式 借入額 返済年数 金利 月返済額 総支払額 一括払い保証料 合計
外枠方式 4,000万円 35年 2.3% 138,746年 5,827万円 82万円 5,909万円
内枠方式 4,000万円 35年 2.5% 142,998年 6,006万円 0円 6,006万円

しかし実際のお金の流れに合わせて考えてみると、内枠方式を選ぶと借入時に外枠方式で必要な82万円の保証料の支払いがないため、そのお金を頭金に充当して借入額を82万円すくなくすることが可能なのです。

外枠方式の保証料支払分で借入額を減らせば支払利息が減るので保証料の負担分を回収し、内枠方式の総返済額を少なく出来ます。

よって結論は、外枠方式の場合は、【保証料は少ないけれども借入額が多くなる】、その一方で内枠方式の場合は【保証料は多くなるけれども借入額、いわゆる支払利息を少なくできる】ので、結局は借主の返済方針に合わせて選択していくことになるのです。

保証料の返し戻しとは

保証料を外枠方式で一括払いした場合に注意してほしいのですが、先ほどの借入額4000万、返済額35年のケースで考えた場合、借入時に35年分の保証料82万4800円を支払います。

ただ、返済途中で残額の一括繰上返済をした場合、その支払い分については保証会社は保証しなくてよくなるので、その繰上返済に見合った保証料を借主に返済しますが、これを「保証料の返し戻し」といいます。

それがどの程度戻って来るかについては以下の通りです。

経過年数 5年 10年 15年 20年 25年
保証期間/5年 0円
保証期間/10年 1,893円 0円
保証期間/15年 4,668円 1,038円 0円
保証期間/20年 7,228円 2,817円 627円 0円
保証期間/25年 9,484円 4,637円 1,814円 405円 0円
保証期間/30年 11,274円 6,196円 3,029円 1,183円 263円
保証期間/35年 12,696円 7,482円 4,112円 2,009円 784円

このように、4000万円を35年返済で25年後に残債を一括返済した場合、返済年数は10年短縮します。

上記の表の保証期間35年、経過年数25年のところか784円なので、40倍した31,360年が借主に戻り、保証総額は824,800円-31,360円で793,440円となります。

残債の全額ではなく一部を繰り入れる繰り上げ返済に関しては、期間短縮型を選べば保証しない期間が出てくるので保証料が戻ってくるのです。

その場合は、まず繰り上げ返済額に対して保証料を適宣返戻し、完済時に短縮した期間で保証料の返戻額を再計算し、以前に返戻していた保証料分を差し引いて返戻します。

保証料内枠方式であれば単純に返済がなくなるので、保証料の返戻を考慮する必要がなく、3928万円を35年返済で保証料分0.2%を引いた2.3%で月々の返済額を計算すると135,901円となります。

また2.5%との差額は月4,165円なので、25年(300ヶ月)で終わった場合は、それを300倍した125万円が保証料と考えられます。

ちなみに、保証料の返戻は借り換えの場合でも発生し、今までの住宅ローンの保証会社から保証料の返戻を受ける代わりに、借り換えローンの保証会社へ今後の返済期間分に相当する保証料を支払います。

借り換えの際、以前の保証料の支払い方式を引き継ぐことにならないので、再度外枠方式か内枠方式のいずれかを指定します。

保証料返戻手数料とは

保証料を外枠方式で支払う場合は、さらに気にしておいてほしいことがあるのですが、それはこの保証料が戻るというのは当たり前のことではありますが、保証料返戻するときに手数料がかからない金融機関と5,000円から20,000円程度の手数料(保証料返戻手数料)がかかる金融機関があるという点になります。

繰上返済を頻繁にやることは結構ですが、保証料返戻手数料の必要な金融機関であれば、少額の繰上返済では短縮する期間が短いので保証料返戻額よりも保証料返戻手数料の方が高額で保証料が手元に帰ってこない可能性もあります。

ご自身の繰上返済のプランも考慮して保証料の支払い方や金融機関を選んでください。

新興の金融機関の特徴は保証料不要の住宅ローン

最近はインターネットの普及によって店舗を持たない金融機関が誕生し、その利便性の高さから利用者が増えてきています。

住宅ローンについては、各社独自性を打ち出し競争が激しくなっている中、そのような一部地銀を除いた新興の金融機関は、保証会社による保証制度を採用せず保証料不要というケースが多いです。

なおフラット35も同様に保証料は不要で、この場合は融資する金融機関が直接審査、担保設定をしています。

パッと見には消費者にとって特に感じますが、冷静に考えてみると、皆さんがお金を貸そうとしたとき、保証人のいる人といない人を同条件で貸すことはないと思います。

保証会社を採用している一般の金融機関は、借主が支払い不能になっても保証会社から元金が回収できますが、保証会社を採用していない金融機関は、その損失が直接に貸主である金融機関に及びます。

そのリクスを回避することは当然なので、必然的に返済能力や担保評価といった面で審査は厳しくなり、頭金を多く入れ借入額を少なくしたり、連帯保証人を用意するというようなことが求められます。

さらに細かく見てみると、金利や手数料が高くなる場合もありえますので「不要」という言葉だけでの安易な判断は避けたほうが賢明です。

抵当権に関して

住宅ローンは、教育ローンやキャッシングといった「無担保」での融資とは異なり、「有担保」の融資ですが、担保となるのは建物と土地になります。

保証会社はその建物と土地に「第一抵当権」という権利を設定しますが、借主の返済が滞ると、保証人である保証会社が金融機関に対して借入金の返済をしますが、それを代位弁済といいます。

そうすると借主は金融機関への返済をしなくてよくなる代わりに、その土地と建物を保証会社に差し出すことになり、その最優先で物件を確保できる権利を「第一抵当権」といわれています。

保証会社は、代位弁済となった物件を競売にかけてその売却代金で代位弁済分の資金回収をしますが、回収しきれない場合は、差額分をその借主がその後返済することになります。

ちなみに、建物だけを立て直す「建て替え」の場合は、建物分だけを借入れするのですが、土地にも抵当権を設定しますが、それは建物だけでは競売にかけ、売却することが出来ないからです。

火災保険への加入

また、火災保険への加入も必須になりますが、その理由については建物自体は借り入れの担保なので、火災が起こった場合でも、火災保険を利用し融資額を回収できる策を講じておく必要があるからです。

住宅ローンに関しては最低限の火災保険に加入しておけばよく、地震保険への加入については求められていません。

なお、火災保険は借入先の金融機関から勧められることが多いですが、その金融機関で加入しなければ融資をしないという条件ではありませんので他の代理店等などお好みのところで加入して頂いて結構です。

さらに火災保険に関しては、金融機関から「質権」という権利を設定するように求められることがありますが、これは火災保険の保険金受取人を加入者ではなく金融機関にする、という権利です。

万が一火災に見舞われてしまった場合は、保険金が金融機関に支払われ、保険金は住宅ローンの返済に充当されます。

しかしながら、住宅ローンの返済を遅滞なく支払っている場合はこの限りではなく、金融機関は保険金を受け取る権利を行使せずに加入者に保険金が支払われることになり、それを原資として建物の復旧などを行えますが、近年ではこの質権を設定する金融機関は減ってきています。

如何でしたでしょうか、皆様にも保証会社や抵当権などに関して理解を深め、少しでもお得に住宅ローンを活用し、夢のマイホームを手に入れてください!