そのシステムとは?現金手渡しで生前贈与をする場合の贈与税について

生前贈与をするとして、現金を手渡しで受け取るパターンもあるかもしれません。では、現金を手渡しで生前贈与される場合と贈与税の関係はどの様になっているのでしょうか。そこで今回は、生前贈与を現金手渡しで行う場合に申告しなくてもバレないのか、贈与税について探っていきます。

もしも生前贈与を受けた時や贈与する時のために、参考にしてみてください。

どうなの?現金手渡しでの生前贈与は内緒にできるのか

まずは、生前贈与を現金手渡しで行うとしたらバレないのかという点について迫っていきましょう。

現金がどの様に流れたかを調べられる

贈与する側については、税務調査が税務署によって行われるときに銀行口座のお金がどの様に流れたかに関し、少なくても過去10年分が調べられるでしょう。

いつもと違って高額が引き出されているにも関わらず、何に使うのかを説明できなかったとします。そうすると、生前贈与をしようとしているのではないかと思われてしまいかねません。

贈与された側は車の登録や不動産の登記でバレる可能性も!

また、贈与を受けた側も調査されることがある点を知っておきましょう。贈与された人が贈与されたお金で車もしくは不動産を購入したなら、車や不動産の登記からいつ購入したのかが明るみになります。

贈与されたお金で車や不動産を購入したなら、購入記録が残ることになり、どこから捻出した資金で購入したのかが調べられるのです。

その際に、理にかなっている説明ができなければ、生前贈与ではないかと思われることがあります。

マイナンバーで把握されることがある!

マイナンバーが始まったことで、贈与税および相続税の申告書にマイナンバーを記載することが必須になりました。

平成30年4月時点では、マイナンバーと銀行口座は関連付けられていないものの、いずれは関連付けられることが予想されるので、銀行口座とマイナンバーが関連付けられると、個人のお金がどの様に流れているのかを税務署が把握しやすくなります。

よって、違和感のあるお金の流れがあれば発見されやすくなるでしょう。

把握しておこう!生前贈与してもこんな場合は贈与税は発生しない

ここで、もし生前贈与を受けたとしても贈与税が発生しないケースについて紹介していきます。

暦年贈与での生前贈与も1つの方法となる!

まず、1年間で110万円までなら贈与税が発生しません。

贈与税というのは1年で贈与された総額から基礎控除の110万円を引いた額に税率をかけ算出するので、110万円までの贈与なら贈与税が発生しないことになるのです。1年の間に受けた贈与の基準は、毎年1月1日から12月31日までとなり計算されます。

これを暦年課税制度と呼びます。贈与税は暦年課税により課税されるのが一般的です。暦年贈与は毎年行ったとしても特段問題はないものの、それぞれの贈与が1つずつであることが前提となります。

例を挙げると、全部で2,000万円の贈与を行おうと考えて非課税の範囲内において毎年110万円ずつ贈与したなら、『連年贈与』として初めから2,000万円贈与があったとみなされて暦年贈与が認められないことがあるでしょう。

扶養義務のある人が生活費等を渡しても贈与税は発生しない!

父母もしくは祖父母の扶養家族の扶養義務者(配偶者や直系尊属、直系卑属、兄弟姉妹など民法上である者の扶養する義務のある者を指し、扶養義務を負う)より受けた生活費もしくは教育費として受けた贈与については、最初から贈与税の対象とはなりません。

要するに、配偶者は他の配偶者の扶養をする義務があり、親子や兄弟においても扶養する義務があるということです。

法律上として求められる扶養義務を果たすために、生活費もしくは教育費を贈与したとしても、贈与税は課税されないでしょう。

住宅取得資金等は最大3,000万円まで贈与税がかからない!

直系尊属となっている、父母もしくは祖父母が子や孫に関して住宅の取得についての資金を贈与したとしても、一定額までなら非課税となる特例があります。

この特例については、令和3年12月31日までという、期間限定の特例です。非課税にできる限度額は、住宅を購入する年度もしくはその時の消費税率、購入する住宅が省エネになっているかなどといった基準を満たせているのかどうかでも異なるものの、最大3,000万円まで贈与税がかかることなく贈与できるでしょう。

どんな点に注意?生前贈与で現金を手渡しする場合

最後に、現金の手渡しによって生前贈与をする場合の注意点について紹介していきたいと思います。

現金で贈与するなら記録を残しておくようにしよう!

現金で生前贈与したなら、口座に振り込む場合と異なり見た目での“贈与した”という証拠が残らないでしょう。よって、もしも1年で贈与額が100万円のみしか贈与していなくて、暦年課税での非課税範囲内での贈与でも、もっと贈与をしているかもしれないと疑われてしまうことがあるかもしれません。

それに贈与された側が所持している現金が、借りたのかもらったのかが分からなくなることが考えられます。そうなれば、贈与税非課税の制度が当てはまるのか、明確ではなくなることもああるのです。

そうならないために、現金で贈与したなら贈与契約書の作成もしくは受領書の受け取りなど記録を残しておくのがポイントになります。

相続をする3年前以内の生前贈与は相続税発生!

現金での贈与以外にも言えることですが、被相続人が亡くなる前の3年間のうちで行った贈与は、被相続人が亡くなってから相続税を計算する際に、相続財産ということで相続税を算出する対象となるでしょう。

もし被相続人が亡くなる前の3年の間に、暦年贈与の非課税枠内にあるとみなして毎年100万円ずつ贈与したなら、その合計額300万円は相続財産ということになり、相続税の対象となるのです。

これについては、相続税が累進課税となっているので、亡くなるすぐ前に被相続人が贈与税を払ってでもなるべく生前贈与して、相続財産を減らそうとさせないようにする目的があります。

仕組みをきちんと把握して現金手渡しでの生前贈与をしよう!

現金を手渡しによって生前贈与すれば、お金の流れについて調べられるでしょう。また、贈与を受けた人は車の登録もしくは不動産の登記によってバレる可能性があります。それに相続税の申告にマイナンバーを記入することになったため、マイナンバーでも発覚することがあるのです。

さらに110万円までの贈与なら税金が発生しませんので、暦年贈与で贈与する手段もあります。そのほかに、扶養義務のある方が生活費などを渡したとしても、贈与税は発生しません。