友人や恋人にお金を貸したけど、いつまでたっても返してもらえず人間関係がこじれてしまう経験はほとんどの人が経験しているのではないでしょうか。口約束で大きな金額を貸してしまうと、返済を巡って大きなトラブルになってしまうことがあります。
借金トラブルを防ぐためには、お金の貸し借りは必ず借用書など貸したことを証明するものを手元に残しておく必要がありますが、親しい間柄ではそれがなかなかできません。
また家族や友人が自分の知らないところで勝手に名前を使って借金をしてしまうこともあります。ここでは思わぬ借金トラブルに見舞われたとき、どんな行動をとればいいかを解説します。
借金トラブルで一番多いのは、友人間での口約束の借金だといわれています。信用できる人間だから、借用書がなくても大丈夫だろう…。と深く考えずに貸してしまって、後で返済を巡って大きなトラブルに発展してしまうケースは後を絶ちません。
恋愛関係にある男女間でも借金トラブルは発生します。借りる側が相手の「好き」という感情に付け込んで無理な借金を申し込んだり、好きな人の窮状につい救いの手を差し伸べたりして、後で大きなトラブルに発展するケースが多くなります。
恋愛感情が絡んでいるだけに、友人間の借金より精神的な負担が大きくなりやすいという特徴があります。
一番信頼できるという家族間でも借金のトラブルは発生します。妻が夫の名義で勝手にカードローンを借りていたり、親が子どものカードを無断で使って勝手にキャッシングして深い溝ができてしまったといる例も多くみられます。
たとえ親しい友人や恋人、親兄弟でも口約束は危険です。
口約束でお金を借りることを「信用貸」ともといいますが、信用貸しの恐ろしいところは文書で証拠が残っていないために理不尽な要求が通りやすくなるというところです。
信用貸のトラブル例を挙げてみましょう。事業資金が足りなかったAさんは親しくしていたBさんに200万円を月5万円の返済で借してもらう約束を取り付けることができました。Aさんは借用書の作成を申し込みましたが、Bさんは信用しているからと、その申し出を断ります。
Aさんは誠実な人柄で最初は順調に返済していました。ところがある日、Bさんから電話がかかってきて、2~3日以内に残金を返してほしいと要求してきたのです。借金はまだ100万円以上のこっています。
Aさんは親兄弟に頭をさげて、幸いなことに何とかお金を工面することができました。Bさんが急に一括返済を要求してきた理由は、AさんとBさんの共通の知人がBさんにAさんの悪口を吹き込んだため、Bさんが急に不安になってしまったことが原因だったようです。
幸いこのケースではAさんBさんの信頼関係が崩れることはありませんでしたが、借用書のないあいまいな口約束では、返済額や返済期間を巡って見解の相違が起こりやすく大きなトラブルに発展しやすくなります。
同居している家族が勝手に自分の名義で借金をするとさらに厄介なことがおこります。妻が夫の名義で数百万円の借金を抱えていたり、親が子どものカードを無断で利用してお金を借りてしまうケースは決してめずらしくありません。
この場合、たとえ配偶者や親子でも名義を使われた方に返済の義務はないのですが、「借金をしたのは自分ではない」と相手に証明することは非常に困難です。
例えば妻が夫名義でカードローンをネット経由で申し込んだ場合、IPアドレスと申し込んだ時間、場所を割り出し夫が申し込むのが不可能であるということを証明しなくてはなりません。
そのうえで筆跡が本人のものでないこと、押されている印鑑が実印でないことを証明できればようやく返済の義務はなくなりますが、契約書におされているのが実印であれば、契約したのが夫でなくても返済義務が生じます。
たとえ家族であっても、経済状況はあるていど把握しておく必要があります。また、印鑑やカードなどの貴重品は日頃から自分自身でしっかりと管理しておきましょう。
すでに口約束での借金の返済が滞っている場合は、貸した相手に郵便で内容証明を送ることから始めましょう。作成前には借金の総額、相手の住所、経済状況をしっかり把握しておく必要があります。
内容証明は必要な内容が記入されていれば自分で作成したものでも効力を発揮しますが、法的により有利になるものを作成したい場合は司法書士などプロに頼むのがいいでしょう。
内容証明が相手に到着したことを証明するために、「配達証明」も必ず付けましょう。後で裁判に発展したときに証拠になります。
どんなに親しい間柄でも借金のトラブルは人間関係を破壊し、借りた人の社会的信用も失墜させます。たとえ少額でも借用書は必ず作成するようにしましょう。
借用書を作成する場合、金額や返済期日に貸した側借りた側に認識のずれがないかしっかり確認してから作成しましょう。損害遅延金や利息を付け加える場合は、必ず法律の範囲内の金額にしましょう。法外な金額は無効とみなされることもあります。
署名は必ず借主の直筆で記入し、捺印します。印鑑はシャチハタを使用することはできません。拇印でも有効になります。
連帯保証人をつける場合は、連帯保証人の署名と捺印も必要になるので必ず立ち会ってもらうようにしましょう。
しかし、できれば親しい間柄でのお金の貸し借りは極力避けたいものです。たとえ少額でも返済されなかったときの不信感はなかなかぬぐえません。
親しき中にも礼儀ありという言葉どおり、たとえ家族や友人でも常識を欠いた金銭感覚の持ち主とは距離を置くということも必要です。