ローンだと「利息」じゃなくて「利子」が本当?借金の基本は知るべき

お金に関する話で「経済が…」となると、(間接的には関係あるものの)人ごとだと考えてしまうものです。しかし、銀行の預金のことやローンに関することは、実際に直接関係あるものです。

特にローンは借金になり、返済の仕方によっては負担額が大きく変わってきてしまいます。借金なら、なるべく少しでも返済額が少ない方がいいはずです。

そもそも「利子」や「利息」の違いもわからないままでいることもありますが、ローンに関係する言葉やそれに伴う意味すら知らないと、損な形で返済しているかもしれません。せめて、基本の言葉やその意味は、知っておくべきではないでしょうか。

利子とは何?利息との違いは?まず借金に関する言葉の意味を知る

ローンと言っても、住宅ローン、自動車ローン、カードローンなど、様々ありますが、どれにしても、銀行やノンバンクを含めた金融機関からお金を借りて返すことです。借金です。

返す際には、当然それにともない手数料なる費用が発生します。それを利息、または利子と言いますが、この利息と利子、どちらを言えばいいのか、またどう違うのかがわからない人は少なくないでしょう。

ローン返済で発生するのは利子?利息?どちらも同じお金には違いない

まず、ローンでは、銀行や消費者金融、信販会社などに申し込みをすると審査が行われます。

これは、申し込みした人がお金を借りた後にきちんとお金を返せるのかどうかを、過去のローンやクレジットの履歴をチェックしたり、その人の収入が安定しているか(金額よりも安定して毎月収入があるかどうか)をチェックすることです。

審査に通ればお金を借りることができるようになるのですが、そこで支払うべき手数料を利息と言ったり利子と言いますが、どちらが正しいのかわからない人もいます。

利子とは 利子は、お金を借りた際に支払うものです。
本来は「ローンの利子を払う」と言う使い方になります。
利息とは 利息は、借した際に受け取るものです。
本来は「預金の利息を受け取る」と言う使い方になります。

細かく言うとその時々、立場で言葉の使い方が変わることになり、わかりにくいかもしれませんが、借りた側=利子、貸した側=利息、と考えればわかりやすいです。

また、銀行預金では、「利息」、ゆうちょ銀行だと「利子」と言う呼び方をしています。法律用語としては、「利息」が通常使われますが、税法では「利子」も使われます。

ただ実際には、利子だろうと利息だろうと、お金としては同じものになります。利息も利子も相手の立場になって言えば言葉は逆になり、利子になったり利息になったりしますし、最近は、あまり厳密に捉えずに言うことが増えました。

カードローンの利用については、上記の考え方によれば、消費者側からすれば「利子」と言うのが正解なのでしょうが、消費者金融や銀行のカードローンに関するホームページや各情報では「利息」(立場からすれば当然でしょう。)となっていることが多いので、ここでは同様に利息とします。

金利はローンにおいて重要!他にも知っておく言葉はいくつかある

利息については、金利で計算されて決まります。その為、「金利」は、ローンに関する言葉としては特に重要です。金利については、ほとんどの人が言葉を聞けばピンとくるでしょう。

金利とは
カードローンなどでお金を借りた時に発生する利息を、借りたお金の金額に対する割合で表したもの。例えば、10万円を借りて金利18.0%となっているならば、10万円の18.0%分が利息として10万円の他に支払わなければいけません。

ちなみに、金利は基本的に年率、または年利と言って、1年お金を借りた場合の割合とされています。例えば18.0%の金利で10万円を借りたら、1年後に10万円+18,000円(18.0%分の利息)=118,000円を支払う(返す)ことになります。

カードローンの利用ではまず使わないのですが、年率以外では、1ヵ月での割合ならば月利(げつり)、1日ならば日歩(ひぶ)と言います。よく言うトイチは、10日で1割となることで、これを年率にすると365%になります。

他にも基本として知っておく言葉はいろいろあります。

元金とは
借りたお金のこと。返済を続ければ金額は減っていくので、借入残高と言うこともある。
実質年率とは
カードローンで顧客にお金を貸すには、審査も含めて様々な手続きや書類作成などの事務処理をしなければいけません。当然、費用がかかります。この事務処理等でかかった費用を組み込む形にして金利で表しているのが、実質年率となります。これは、貸金業法でも取り決められています。

貸金業者によるカードローンの商品概要には、必ず「実質年率」となっています。銀行の場合は、「実質年率」と言う表記はほとんどなく、「年利」等の表記になっていますが、実際には、保証料等無料とされていることが多いです。

厳密に使い分ける人もいるかもしれませんが、今は、キャッシングとカードローンの違いもさほどなくなってきました。

(細かく言えば、キャッシングとカードローン も違うのですが)これらの言葉は、同じだと考えて問題ないといえます。

  • 利子=利息
  • 金利=利率
  • 年率=年利

確かに言葉の意味をしっかりと知らなくても、お金は借りられるし、返済もできます。しかし、基本だけでも知っていると、返済の負担を減らすことにつながります。

法律では金利の上限が決まっている!上限金利より高ければ違法

金利についてもう少し説明すると、法律で上限が決まっています。

業者がローンで示している金利がこの上限金利より高ければ、その消費者金融は闇金と言われる違法業者になります。正規の業者ならば、出資法・利息制限法によって、金利が高くとも20%を超えることはありません。

法律で決まっている上限金利

元金 上限金利
10万円未満 年20%
10万円~100万円未満 年18%
100万円以上 年15%

昔はこれより高い金利の時代がありましたが、その頃の金利を今の金利に引き直し計算することで発生しているのが、「過払い金」です。身に覚えがある人は、一度弁護士等、専門家に相談することをお勧めします。

ただ、相手が闇金の場合は、話が変わってきます。そもそも闇金は、法律を守っていません。とは言え、闇金の場合も相談先としてはやはり弁護士等の専門家になります。ただし、弁護士でも得意分野があるので、できれば闇金対応の経験が多い弁護士事務所に相談する方が安心です。

利息は自分で計算すればすぐにわかる!金利の計算の基本を知る

金利の言葉だけでなく、利息を算出する計算式を知っておくのも最終的に自分のローンの利息負担を減らすのに役に立ちます。

利息の出し方
元金×金利(%)÷365日×借入日数=利息
※うるう年は366日

借入日数の意味がわかりにくいかもしれません。大抵のローンは毎月の返済になりますが、前回の返済日から次回の返済日までの期間が、この借入日数になります。返済の都度、利息はつき、前回の返済ではそれまでの借入日数が計算されているので、その次の新たな返済日までがまた計算されることを意味しています。

金利の表記は、年率と言って年単位になっています。ですが、通常、年1回の返済ではないので、この日割り計算で利息の金額を出せば、例えば返済額が毎回一定になっていても、その時の利息や元金の残りがいくらかわかります。

例:元金10万円・金利18.0%・30日ごとの返済の場合・返済額1万円の場合

  元金
(借入残高)
利息
(計算式)
返済額の中の元金分
返済1回目 100,000 1,479円
(100,000×18%÷365×30)
8,521円
(10,000-1,479)
返済2回目 91,479
(100,000-8,521)
1,353円
(91,579×18%÷365×30)
8,647円
(10,000-1,353円)
返済3回目 82,832
(91,479-8,647)
1,225円
(82,832×18%÷365×30)
8,775円
(10,000-1,225)

カードローンでは多くのホームページでシミレーションがあるので、本来なら自分で計算する必要はないのですが、利息の出し方を知っておくと、実際にどれぐらい自分が返済の際に利息を払っているのか、把握しやすいです。

単利と複利の違いは?ローンは基本的に単利なので心配は不要!

よく耳にする言葉で他にも「単利」と「複利」があります。これは、先ほど利息の出し方の計算式をお伝えしましたが、この金利の掛け方、要は金利の計算の仕方が違います。

単利 元金×金利
複利 (元金+利息)×金利

一見だけではわかりにくいかもしれませんが、基本的に金利は年利が基準となっています。この点は単利も複利も同じです。ただ、複利の場合は2年目以降が前年の利息も含まれて計算されていくことになります。

例として10万円を年利18.0%の金利が掛かっていたとします。その場合の利息がこのように変わってきます。(単純に1年、2年での利息の額で示しています。)

  利息(単利) 利息(複利)
1年目 18,000円
(10万円×18.0%)
18,000円
(10万円×18.0%)
2年目 36,000円
(10万円×18.0%)+(10万円×18.0%)
39,240円
((10万円×18.0%)+(10万円+18,000円)×18.0%)

単利の方は、何年経とうが毎年同じ計算で利息が算出されますが、複利の場合は、前年の利息も元金に含まれる形で計算されていくので、次の年の利息が大きく増えてしまうことになります。

複利だと利息の額が大きくなってしまうので、不安になるかもしれませんが、キャッシングやローンは、基本的に単利で計算されています。闇金の場合、複利になっていることもあるので、(単利複利の問題だけではないのですが)それこそ闇金からはお金を借りないようにしなければいけません。

借金の負担を少しでも減らしたい!そんな時の方法も知っておくといい

借金の負担を少しでも抑えたいと思うのは、誰もが同じでしょう。利息の出し方を知るだけでもその点を考えやすくなります。実際に自分で全部計算をしなくても考え方がわかるだけでも違います。

ただ、利息の計算だけの問題ではなく、最終的な借金の利息(利子)は、借入額、金利、借入期間で金額が決まります。

例えば、同じ借入額でも金利が高ければ、その分利息は大きくなります。これは、わかりやすいでしょう。逆に金利が低い方が利息は少なくなるのは、考えなくてもわかります。

金利だけでなく、借入額が変われば利息も大きく変わることもあります。例えば、10,000円の1%は100円でも、1,000,000円の1%は10,000円と、少額の借入額では気にならない利息の差も、借入額が大きければ利息の差による、いわゆる金額的な負担は大きくなることもあります。

なるべく金利が低いことに越したことはないのですが、限度額が高く設定されていたとしても、必要以上にお金を借りないようにしましょう。

金利が低くても返済回数が多ければそれだけ利息が増えることがある!

他にも気をつける点としては、返済回数です。

これは、意外に気付いていない人が多くいます。

借金は基本的に毎月(または一定期間ごと)の返済になります。この毎月の返済は、返済額によって返済期間が変わってきます。実は、借入期間が長ければ、その分の返済回数は当然増え、その分の利息を払う回数も増えます。となると、最終的な利息が増えることもあり得ます。

例えとして、某消費者金融のカードローンをシミレーションを使って比較してみます。元金50万円、18%で比較してみます。

返済回数 毎月の返済額 総利息額
10回 54,217円 42,167円
30回 20,819円 124,575円

このように返済回数によって、最終的に支払う利息の額が大きく変わってきます。

返済回数を減らすには随時返済が効果的!気をつけながら随時返済を

もし少しでも利息を減らしたいならば、返済期間が減るような努力をするのも一つの方法です。

それには随時返済が効果的です。(ちなみに毎月の返済は約定返済と言います。)随時返済は、任意返済とも言い、臨時的に返済を行うことです。随時返済の特徴としては、その時の返済額全てが元金に充てられます。

その為、利息の負担もないですし、借入額が直結して減ることになります。これは総額的な利息の軽減になります。

ただ、随時返済に関しては、各カードローンで対応が違うことがあります。

  • 手数料が発生するところがある
  • 約定返済に影響が出てしまうところがある

特にATMを使った返済方法だと、手数料無料ならばいいのですが、ATM手数料が発生することがあります。金額によっては利息分よりも手数料の方が、負担が大きくなりかねません。また稀にATM手数料ではなく、随時返済に対しての手数料が発生するカードローンもあります。

また、カードローンによって返済日の設定が違います。返済日が毎月固定されている場合はいいのですが、例えば35日ごとの返済など、日にちが指定されていない場合は、随時返済のつもりでいても約定返済日として扱われることもあります。

随時返済のつもりが約定返済の扱いになってしまうと、きちんと利息分も返済額の中に組み込まれていますし、通常よりも借入額が早く減ることもありません。

それぞれの借入先がどのような返済対応になっているかも、利息負担を減らす上では知っておくことが必要と言えます。

どうしても借金返済が難しい?そんな時は公的機関からの借入れも検討

借金の返済が難しい為、少しでも利息を減らすことはできないのかと考えた時、他の方法があることを知っておくことも必要です。

その代表格と言えるのが、社会福祉協議会でしょう。ここでの借り入れを検討するのが、一番負担が少なくなる借金と言えるかもしれません。

社会福祉協議会(社協)とは
社会福祉法に基づき各市町村に設置されている、非営利の民間組織になります。

社会福祉協議会の「生活福祉資金貸付制度」は、低所得者、高齢者、障害者の経済を支え、社会参加の促進を図ることを目的で行っています。市町村の社会福祉協議会が窓口となっています。また、お金の貸し付けだけでなく、地域の民生委員により相談支援も行われています。

対象者 低所得者
(必要な資金を他から借りることが困難とされる世帯)
障害者
(身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の交付を受けた人等がいる世帯)
高齢者
(65歳以上の高齢者がいる世帯)
貸し付けの種類 総合支援資金
福祉資金
教育支援資金
不動産担保型生活資金
連帯保証人 原則として必要ですが、連帯保証人を立てない場合も申し込みは可能。
(連帯保証人の有無で金利が変わる。)
金利 連帯保証人を立てる場合:無利子
連帯保証人を立てない場合:年1.5%
※緊急小口資金、教育支援資金は無利子。
※不動産担保型生活資金は年3%または、長期プライムレートのいれずれか低い方。

貸し付けの種類はいくつかあり、それぞれで条件や限度額が決まっていますが、いずれにしろ、お金のことで困窮している人達を援助するシステムとなっています。

それ以外にも各市町村で無料相談を行っていたり、方法はいくらかあります。地域によって違いがあるので調べる必要はありますが、困窮している人に対しての何かしらの手立てはあります。

借金の基本を知っているだけでも違う!その上で返済の方法を考える

ローン、いわゆる借金ですが、ついつい金融機関の言われるままに手続きをしてしまうことが多いです。確かに、その方が毎月の負担が少なかったり、手続きが簡単だったりします。

しかし、必ずしもそれが最終的に利息の負担が減るわけではありません。それ以前に言葉の意味を知っているのと知らないのとでは違います。

せめて基本的なことだけでも知っておくと、最終的に返済額が少なくなるなど、自分にとって得になるかもしれません。最初から難しい専門用語まで全て覚える必要はないでしょうが、基本的なことだけでも知っておくことをオススメします。