「ディーラー」と「自動車ディーラー」や、「ディーラーローン」と「マイカーローン」の違いについて分かりやすく説明をします。
そして、トヨタ・日産・ホンダ・マツダ・スズキや日本国外自動車メーカーのディーラーローンを取り扱うのがクレジット会社であることや、そのディーラーローンについて明らかにしていきます。
「ディーラー」に関連したものとして、「サブディーラー」やディーラー系の中古車販売店などについても少し説明を加えていきます。
最後に、マイカーの利用形態に合わせて「ディーラーローン」か「マイカーローン」を選ぶと良いことがわかるでしょう。
車を購入する際に利用することの多い「ディーラーローン」の「ディーラー」という言葉を辞書で調べると、次のような3つの意味があることがわかります。
もちろん、「ディーラーローン」で言う「ディーラー」というのは、この3つの意味の内の①のことで、「自動車ディーラー」というの正確なところでしょう。
自動車メーカーの系列になっている新車販売店には中古車部門もありますが、このような所で販売されている車のことを「ディーラー系中古車」と呼び、自動車メーカー系列に属さずに独立して複数の自動車メーカーの中古車を販売しているものとは区別されています。
日本の自動車メーカーの新車ディーラーには、次のような所があります。
また、国外メーカーの自動車ディーラーとしては、ゼネラルモーターズ、フォード・モーター、クライスラー/ジープ/ダッジ、メルセデス・ベンツ/スマート、フォルクスワーゲン、ベントレー、BMW/MINI、アルビナ、アウディ、ポルシェ、ボルボ・カーズ、ジャガーとランドローバー、ルノー、プジョー、シトロエン…と数限りないほどの多さです。
車の性能にはこだわりがあって多少高めでもそこは譲れないとか、とにかく高くてもかっこいい車に乗りたいとか、仕事が変わってお金が無いのにすぐに車が必要になったなど事情で、車というけっこうな高額の買い物が必要になることがありますが、車はそれほど気軽に買えるものではありません。
そこで必要になるのがローンということになるのですが、車を購入する際に利用する「ディーラーローン」の他にもうひとつのローン「マイカーローン」というものもあります。この「マイカーローン」というのは、「ディーラーローン」と一体どんなところが違うのでしょうか。
「マイカーローン」は銀行やJAなどの金融機関で取り扱っているもので、車を購入する自動車ディーラーとは関係なく融資をしてくれます。そして、銀行の「マイカーローン」には次のようなメリットがあるのです。
但し、一般的には「ディーラーローン」に比べて」”審査が厳しい”・”審査スピードが遅い”というデメリットもあるため、注意が必要です。
「ディーラーローン」では、ローン利用者=車の購入者が自動車販売店から車を販売してもらい、自動車販売店を提携している保証会社或いは信販会社に分割で車の代金を支払います。そして、保証会社(信販会社)が一括で自動車販売店に車の代金を支払うという仕組みになっています。
これは、「マイカーローン」では原則無担保・保証人無しという条件なのに対して、「ディーラーローン」では購入する車を担保としているという大きな違いがあるのです。
「ディーラーローン」のメリットとデメリットは、「マイカーローン」に対して次のようになると考えられます。
メリット・デメリット | 内容 |
---|---|
メリット | 比較的早い審査 |
メリット | 残価設定ローンで返済額が減る可能性 |
デメリット | 高い金利 |
デメリット | 完済前は車は自分のものでない。 |
「マイカーローン」では、車の購入先とは関係なく借りた資金で車を買うので車は初めから自分のものですが、「ディーラーローン」では車を購入すると車が担保となるため、代金(融資金+利息)を払いきるまではその車は自分のものではないのです。
「ディーラーローン」を取り扱うのは自動車販売店そのものではなく、その系列のクレジット会社が行っています。
一口にクレジット会社とは言ってもその系列は様々で、銀行系・国内系・外資系・信販系・メーカー系・流通系・交通系・石油系・消費者金融系・大学系・独立系などに分類されます。この内車の「ディーラーローン」を取り扱うのはメーカー系であり、この中には自動車関連の他に電機関連のものもあります。
主な国産自動車メーカーと国外自動車の販売会社毎の「ディーラーローン」を扱うクレジット会社を一覧にしてみました。
自動車メーカー 自動車販売会社 |
クレジット会社 |
---|---|
トヨタ自動車株式会社 | トヨタファイナンス株式会社 |
日産自動車株式会社 | 株式会社日産フィナンシャルサービス |
本田技研工業株式会社 | 株式会社ホンダファイナンス |
マツダ株式会社 | SMMオートファイナンス株式会社 |
スズキ株式会社 | スズキファイナンス株式会社 |
ビー・エム・ダブリュー株式会社 | ビー・エム・ダブリュー・ジャパン・ファイナンス株式会社 |
フォルクスワーゲン グループ ジャパン 株式会社 | フォルクスワーゲン・ファイナンシャル・サービス・ジャパン株式会社 |
メルセデス・ベンツ日本 | メルセデス・ベンツ・ファイナンス株式会社 |
「ディーラーローン」では、「マイカーローン」などの一般的なキャッシングに比べて、収入が安定してさえいれば多少勤続年数が短くても審査は早く通りやすいとされています。しかし、その反面銀行などのローンに比べると、金利は少々高めに設定されているのです。
「ディーラーローン」の金利は年2.0~5.0%位が相場のようで、銀行などの「マイカーローン」では通常年1.5~3.0%なので少々お高めの状況にあります。しかし、「残価設定型クレジット」というものにすれば金利は年1.9~2.9%位にまで引き下げることも可能なのです。
”トヨタ”系列の「自動車ディーラーローン」を取り扱う「トヨタファイナンス株式会社」は、トヨタグループの金融事業を総括する持株会社「トヨタフィナンシャルサービス株式会社」の子会社で、自動車販売金融を始めとした各種金融事業を行なっています。
トヨタファイナンスの「ディーラーローン」は「オートローン」と呼ばれ、次のように4種類の形態があります。
「トヨタクレジット」は、最も一般的な均等分割払い型のオートローンです。
「残価設定型クレジット」は、クレジットの対象になる車の価格などから残存価格=残価と呼ばれる一定額の据置きし、その残価以外の金額を月々均等で弁済していくものです。最後まで払いきれば車は自分のものになりますが、途中で車を返却して別の新車で残価共々新たにクレジット契約をすることもできます。
「スーパーバリューリース」は、「残価設定型クレジット」の元となったオートリースです。残価を除いた車両金額と諸費用などを合わせたリース料を月々均等で支払うもので、ローンの時の利息に相当するリース料率がクレジットの利率より低くなるところがメリットです。
「e-way」は、WEBサイト上でできる新型のクレジットです。これまでは出来なかったクレジット契約途中での支払回数変更が可能で、契約期間中5回までは繰上返済もすることができます。
”日産”系列の「自動車ディーラーローン」を取り扱う「株式会社日産フィナンシャルサービス」は、日産自動車系列の金融とサービスを行なう会社で、その事業内容は次の4項目となっています。
日産フィナンシャルサービスの「ディーラーローン」は「ニッサンオートクレジット」と呼ばれ、次のように4種類の形態があります。
「残価設定型クレジット」は”トヨタ”系列でも説明したものと同様です。”日産”系列の「日産テーガク5」は5年間のクレジットとなっていて、月々の支払いが手軽で、プロの車検点検が付いて、追加費用のかからないオイル交換があり、通常3年のメーカー保証が延長され、相場に影響されない残価保証などで安心です。
「ニッサンオートクレジット」は”買う”派に、「日産マイリースプラン」は”全部お任せ”派に、「ニッサンまいらいふクレジット」は”らくらく・あんしん”派にと、様々なニーズに対応した「ディーラーローン」となっています。
大手の国産車メーカー”トヨタ”と”日産”の「ディーラーローン」は、かゆいところに手が届くというような、人それぞれに合った内容で対応してくれます。
”ホンダ”系列の「自動車ディーラーローン」を取り扱う「株式会社ホンダファイナンス」は、「本田技研工業株式会社」を株主として、Honda製品・用品等購入時のクレジット取扱いとHonda製品のリースの事業を行なっています。
ホンダファイナンスの「ディーラーローン」には、次のように4種類の形態があります。
”マツダ”系列の自動車ディーラーローン「マツダクレジット」を取り扱う「SMMオートファイナンス株式会社」は、「マツダ株式会社」と「株式会社三井住友銀行」・「株式会社セディナ」を株主として、”マツダ”の車購入者・販売会社・メーカーを顧客として新車・中古車のファイナンス事業を行なっています。
ディーラーローン「マツダクレジット」には、次のように5種類の形態があります。
”スズキ”系列の「自動車ディーラーローン」を取り扱う「スズキファイナンス株式会社」は、自動車メーカー「スズキ株式会社」を主要株主として、スズキ製品・用品等購入時のクレジット、スズキ製品のリース・スズキ製品のメンテナンスパック・スズキカード入会などの取扱いの事業を行なっています。
ディーラーローン「スズキクレジット」は残価設定クレジットになっていて、商品名を「かえるプラン」と言います。そのクレジットは四者間契約になっていて、顧客が車などを購入するとその代金をスズキファイナンスが車販売会社に一括で立替払いし、その後で業務代行している提携の信販会社へ顧客が代金を分割払いするのです。
スズキファイナンスは1形態の「ディーラーローン」ですが、ホンダファイナンスとマツダクレジットでは、大手の”トヨタ”・”日産”に負けず劣らずの複数のクレジットを取り扱っています。
”フォルクスワーゲン”系列の「自動車ディーラーローン」を取り扱う「フォルクスワーゲン・ファイナンシャル・サービス・ジャパン株式会社」は、フォルクスワーゲンを始めアウディ・ベントレー・ランボルギーニ・ドゥカティなどの日本での販売店と取引があります。
”フォルクスワーゲン”系列の「ディーラーローン」の購入プランには次のような2種類の形態があります。
「ソリューションズ」プランでは、月々の支払いを大幅に軽減して、車購入者に”安心感”と”支払いの手軽さ”を提供しています。そのメリットは、月々の支払い軽減の他、ワンランク上のモデルに手が届く支払いのゆとりと、買取保証による次の車へのスムーズな乗り換えにあります。
「ソリューションズプラス」プランでは、支払いは購入時と3年後の最終回のたった2回だけになり、現金一括払いよりは購入時の支出を大幅に抑えることができます。そのメリットは支払い回数の少なさや現金払いよりも支払額を軽減できることに加えて、買取保証による次の車へのスムーズな乗り換えにあります。
”メルセデス・ベンツ”系列の「自動車ディーラーローン」を取り扱う「メルセデス・ベンツ・ファイナンス株式会社」は、メルセデス・ベンツ乗用車とふそう商用車の金融サービス(リース/ローン、据置型ローン、フロアプラン業務等)を行なっています。
”メルセデス・ベンツ”系列のファイナンスプランには次のような5種類の形態があります。
「ウェルカムプラン」は、契約満了時での新車への乗り換えがスムーズにでき、ワンランク上のモデルへのステップアップも可能な「ディーラーローン」のプランです。
「オートリース」は、保険・税金の支払いも含めた月々一定額のリース料でメルセデス・ベンツを体感できる合理的なリースプランです。
「スタンダードローン」は、車購入時の頭金や支払い回数などを自由に設定できて、車購入者のニーズを満足させる一番ベーシックなファイナンスプランです。
「ユーズドカー」は、更に「ユーズドカー・ウェルカムプラン」・「ユーズドカー・スタンダードローン」・「ユーズドカー・オートリース(オープンエンド方式)」の3種類があり、中古車購入時の「ディーラーローン」として対応しています。
「サービスローン」は、メンテナンス費用やメンテナンスのサービスプログラム、アクセサリーの購入の支払いに利用できます。
日本国外自動車メーカーのディーラーローンにおいても国産車のディーラーローン同様に、複数のローン形態をもって車購入者のニーズに応えています。
車の「ディーラー」に類似したものに、「サブディーラー」というものがあります。
「サブディーラー」のメリットとしては、次のように3つのポイントがあげられます。
反面、サブディーラーの店員は知識や接客の品質にバラツキがあるというデメリットも考えられます。
もしも、貴方の近場にサブディーラーがあるとか、長い間利用しているなどであれば、トラブル時の迅速な対応があったり、車の購入時に信頼できる対応をしてくれるという安心感は強いでしょう。
また、あまり車の価格を値切れないという人であれば、ディーラーでの見積もり内容をサブディーラーに持っていって、もっと安くすることができないかとの相談することもできます。
ただ、初めて車を購入しようとする人や、特定のメーカーの車しか乗っていなくて、長年親しんだディーラーがいるという人であれば、当然サブディーラーを選択するメリットは少なく、絶対ディーラーを利用すべきでしょう。
中古車販売店を分類すると、大きく分けてディーラー系と非ディーラー系となります。そして、非ディーラー系は販売だけの所と販売・買取の所に分類されます。
当然、ディーラー系には「ディーラーローン」の取扱いがあるのですが、非ディーラー系ではそれを期待できない為、銀行などの金融機関の「マイカーローン」を利用するしかないのです。
ディーラー系中古車販売店のメリットは、メンテナンスと保証がしっかりしていて、店舗の違いでサービスに差が無く、しっかりとしたアフターサービスを受けられるところです。反面、そのアフターサービスの費用が車の価格に反映されているため、少々高めの車となっているというデメリットがあります。
非ディーラー系販売専門中古車販売店では、各店毎にオークション中心に車を仕入れているため、ディーラー系に比べて車の価格は安くなるものの、仕入れ担当者の目利き度合や相場をどれだけ把握しているかで、お店の品質にムラが出てしまいます。
非ディーラー系で販売・買取の中古車販売店では、ディーラー系と販売専門店のメリットを併せ持っています。しかし、やはりどうしても非ディーラー系として、お店毎の品質のムラが出てしまうというデメリットがあるのです。
りそな銀行では、自行の「マイカーローン」と一般的な「ディーラーローン」について、金利・審査・サービスの面から比較しています。
比較項目 | りそな銀行の 「マイカーローン」 |
一般的な 「ディーラーローン」 |
---|---|---|
金利 | 全車種で同じ。 | 車種によって変わる。 |
審査申込み | 購入車決定前に仮審査可能。 | 購入車未決では仮審査不能なことも。 |
契約手続き | 顧客自らが手続き。 | 販売店で手続き可能。 |
用途 | 自由度が高い。 | ディーラーの販売車のみ。 |
車両の所有権 | 契約時点で車購入者のもの。 | ローン完済まではディーラーのもの。 |
銀行によるローンの比較なためか「マイカーローン」の方がずいぶんと良いようになってはいますが、「ディーラーローン」にもまた多くのメリットはあります。
車購入時に利用するローンを「マイカーローン」にするか「ディーラーローン」にするかは、その”マイカー”をどのように利用したいのかということに焦点を絞って選ぶと良いのです。