破産には種類がある。自分の状況にあった破産を選ぼう

ここ数年、カードローンなどの多重債務によって自己破産する人が増えてきているといわれています。自分の支払い能力の範囲内で返済していく債務整理という方法もありますが、あまりにも負債額が多く、どうしても返済が見込めない場合は破産してゼロから生活を立て直したほうが債務者のメリットになることも多いのです。

あまり知られていませんが自己破産は債務者の状況によって適用される種類が違ってきます。ここでは破産の種類の違い、手続きの方法、費用などを詳しく説明していきます。

そもそも破産とはどんな状態を指すのかを知っておこう

自己破産とは裁判所に「破産申立書」を提出して「免責許可」を出してもらい、養育費税金など非免責債権のすべての債務を帳消しにできる手続きのことです。債務がそれほど多くない場合でも支払い能力がなく、今後の生活に大きな支障が出ると認められれば自己破産できるケースもあります。

破産手続きは破産法による規定にのっとって行われます。破産手続は,裁判所によって選任される破産管財人が破産者の財産を調査・管理・換価処分(お金に換えること)したうえで、それを債権者に弁済または配当するという形が基本です。

自己破産は大きく分けて2種類。どんな違いがあるのか

自己破産には「同時廃止」と「管財事件」の2種類があります。

どちらの手続きが採用されるかは、債権者に一定の資産があるかないかで決まります。一定の資産があるとみなされた場合は、「管財事件」となります。資産がないと判断されると「同時廃止」が適用されます。資産の基準は裁判所によって異なりますが、20万円以上の価値があるものを所有していると資産ありとみなされることが多いようです。

破産を申し立てる人の多くはめぼしい資産を持っていませんから、自己破産は同時廃止が適用されるケースがほとんどです。

同時廃止事件は売却して返済にあてる資産がないため、複雑な手続きを踏む必要がなく、申し立てをしてから3か月~4か月で免責が認められます。これに対し、管財事件は、資産の調査や返済に充てるための換金の手続きなどが入ってくるために、手続きが煩雑になり、時間もかかります。

どのていどの時間がかかるかは、破産対象者の事情で大きくちがってきます。

半年ほどで終わるケースもあれば、1年以上かかってしまう例もあるようです。

自己破産が認められる条件とは

自己破産は、債務者が支払能力がない状態にあることが条件です。支払能力の有無は以下の条件に当てはまるかどうかが目安になります。
 

  • 債務を返済する能力の欠如…資産、信用、労働力のいずれか、またはすべてが著しく欠けていると支払能力がないとみなされます。
  •  返済すべき債務がある…返済期限の過ぎている債務が長期に渡って返済できない状態にあると支払能力がないとみなされます。
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  •  経済状態の悪化…なんらかの事情で収入が見込めない、働けない状態であることなどが条件です。

 
これらの条件に照らし合わせて、返済能力なしとみとめられらば免責がみとめられることになります。

ギャンブルによる借金は自己破産できない可能性がある

支払能力がないとみなされた場合でも、免責がみとめられないケースもあります。

例えばギャンブルで多額の借金を抱えた場合は、破産法第252条1項4号が定める『浪費又は賭と博その他の射幸行為をしたことによって著しく財産を減少させ、又は過大な債務を負担したこと』という免責不許可事由にあたるため、免責はみとめられないことが多いようです。

たとえ自己破産しても支払義務のあるものとは

また、公平の観点から免責が認められないものもあります。免責が認められないものには以下のようなものがあります。 

  • 破産者の不法行為や過失による損害賠
  • 夫婦間の扶助の義務
  • 子供の扶養の義務
  •  

  • 罰金等

以上は支払義務を免れることはできませんから、注意が必要です。

自己破産の手続きに必要な書類をしっかり把握しておこう

破産手続きには様々な書類が必要になります。入手するのに時間がかかることも考えられます。手続きを開始すると決めたら早めに準備しましょう。

  • 手続き開始及び免責申立書
  • 陳述書
  • 債権者一覧
  • 資産目録
  • 家計の状況
  • 住民票 ※本籍地の記載のあるもの
  • 疎明資料

疎明資料とは破産対象者の資産状況を明確にする、「証拠」になる書類です。先述した書類は、破産者の自己申告に基づくものだけですから、これらだけでは裁判所を納得させることができません。

者の提出した書類の内容が事実なのかを客観的に判断する材料になるのが疎明資料なのです。

疎明資料は以下のものを準備しましょう。

  • 不動産登記簿謄本/評価証明書
  • 保険証書
  • 車検証/査定書
  • 預貯金通帳の写し(2年分全ページ)
  • 給与明細(2か月分)
  • 市県民税証明書(※保険料控除が記載されているもの)

裁判所にどんな書類を提出したか確認する必要が出てきたときのために、必ず手元にコピーをとっておきましょう。

自己破産にかかる費用はどのくらいなのか知りたい!

自己破産の手続きにかかる費用は自己破産の種類によって違ってきます。目安は以下のようになります。

  • 同時廃止:30万円
  • 通常管財:70万円
  • 管財:50万円

費用の内訳は以下になります。

  • 官報公告掲載費用:1万584円
  • 破産手続開始・免責許可申立手続費用:収入印紙1,500円
  • 各書類発送費用:切手代
  •  弁護士費用:弁護士によって費用は大きく異なります。
  • 弁護士費用は手続きの手数料は弁護士の自由裁量のため、大きな差が一番出やすいところです。

    依頼する前に金額はしっかり確認しましょう。

    弁護士に破産手続きを依頼する前に注意したいこと

    自己破産の手続きは個人でも可能ですが、用意する書類が多いうえに手続きが非常に煩雑で、法にうとい個人が行うと思わぬ見落としがあったりして、破産がみとめられないこともあります。

    こうした事態を避けるためには弁護士に依頼したほうがいいのですが、弁護士の能力もピンからキリまでです。いきなり飛び込みで申し込んで手続きがうまくいかなければ、今後の生活に悪影響が出ることも考えられます。

    初回は無料で相談にのってくれる弁護士に相談して様子をみたり、法テラスなど無料で相談にのってくれる公的機関で状況を説明するなど、下調べはしっかり行ったうえで手続きに入るようにしましょう。